天王寺公園の中にある大阪市立美術館へ行きました
1月16日日曜日に閉幕したメトロポリタン美術館展を観に、大阪市立美術館へ行きました。
大阪市立美術館は、小学生の時に、当時、趣味で油絵を描いていた叔父が、連れて行ってくれたことがあります。
絵画を観に行くためではなく、下のアトリエに連れて行ってくれました。
各部屋で、石膏像やヌードモデルを前に日曜画家?がキャンバスに向かっていました。
どこから入ったかも覚えてないのですが、そんな場所があるのだ、というのはその時に知りました。
美術館正面、西側階段に、地下に入る入口がありますが、当時はそんなところに入り口は無かったような?
昭和40年代ですw 記憶曖昧。
今あらためて検索したら、大阪市立美術館の中に「美術研究所」という機関があるのでアトリエはそこだったようです。
もう亡くなっているので叔父に確認することもできないのですが、遠い大阪市立美術館の思い出です。
天王寺公園入り口、てんしばから向かいました
天王寺駅21番出口から出ると、そこはもうてんしば。
天王寺公園は、下町の治安の悪いところと隣接していて、動物園もあるけれど、ちょっと…なイメージでした。
結婚して長らく関西から離れていたので、ホームレスがいた当時のことや、天王寺博覧会の事もよく知らずにいました。
一時期、柵をめぐらし、入園料を取っていたそうですが、てんしばを見る限り、今はきれいに整備され、公園としても活性化している印象です。
気軽に入れるレストランが立ち並ぶエリアを通過したら、趣のある門が見えてきました
黒田藩蔵屋敷表門 (大阪府有形文化財)
江戸時代、大阪・中之島の堂島川、土佐堀川、江戸堀川あたりに蔵屋敷が立ち並んでいたそうです。
中之島三井ビル付近にあったこの門は、1933年にビル建設に際し、大阪市に寄贈され、ここに移築されました。
門をくぐると、
ここは、美術館の南側、正面は 左手奥に回った西側にあります。
大阪市立美術館、正面玄関
当日は、一時雪が激しく舞う寒い日でした。
13時すぎ、正面玄関へ。当日券を購入する方の列が伸びつつありました。
帰りには、更に伸びていました…
ここは上町台地の西の端
美術館から頭をめぐらして、反対側(西側)を見ると、通天閣。
上町台地は、北は大阪城から、南は住吉大社まで伸びる高台ですが、ナント!!昔は海に囲まれた半島だったそうです。
美術館の前の大階段を下りると高低差が12メートル!(地理院地図 / GSI Maps|国土地理院調べ)
美術館が標高約15メートル、下の入口付近が標高3メートル
見晴らしがいいはずです!
大昔は、なんばも梅田も海の中だったんですね~
そして、大阪のエッフェル塔? 通天閣が見えていますが、通天閣の落成が1912年。
美術館の用地を寄贈した住友友純(春翠)が、1914年にこの地に邸宅を建てたのも、家から出来たばかりの通天閣が見え、見晴らしが良かったからなのでしょうね。
大阪市立美術館と慶沢園は、住友家の土地だった
1914年(大正3年)に住友家本邸が建てられたが、後に住友家から美術館建設を目的に日本庭園「慶沢園」とともに敷地を寄贈され、1936年(昭和11年)に旧本邸跡地に開館した。
1914年に天王寺公園内に住友家本邸が完成しましたが、1921年 住友家15代当主・友純(春翠=住友グループの基礎を作った)が美術館建設を条件に、茶臼山の本邸寄付を大阪市に申し出たそうです。
7年しか住んでいないのに、本邸寄付とは?
「人生で最大の失敗は天王寺公園に家を建てたことだ」、と言ったとか ^^;
友純は公家の出身で、実兄が西園寺公望という名家。
本邸の前の庭園・慶沢園で園遊会を開いたりしたそうで、さすが元お公家様。
画家の黒田清輝を支援したり、渡欧する画家の渡航費を援助したり、芸術に資金提供されてたんですね。
だから、本邸寄付も、「美術館建設を条件」だったのか…
1936年 旧住友家本邸跡地に大阪市立美術館が開館。庭園の慶沢園も開放。
過去古今東西の歴史の中で、市民・農民から敵視されがちな王侯貴族ですが、彼らがいたからこそ、芸術が栄えたという一面は否定できないですよね。
シンメトリーの美しい建物
建物は有名建築家のものではなく、実施設計は、大阪市土木部建築課の伊藤正文らが担当しました。
私が、今年のお正月に行った、三菱一号館美術館の設計がジョサイア・コンドルでしたし、日銀や東京駅の設計が辰野金吾、迎賓館赤坂離宮や、奈良や京都の国立博物館の設計が片山東熊などの著名建築家の設計ではなく、あくまでも大阪市の建築課の建築士としてご活躍されたんですね。
大阪市立美術館のファサードには、左右に瓦が使われていて、土蔵のイメージにしてあるとか。
切り妻屋根の部分も、和風で、こういうのを帝冠様式、というそうです。
和洋折衷建築、個人的に余り好きではないですw
帝冠様式の建物は、神奈川県庁舎、名古屋市庁舎、京都京セラ美術館などが挙げられます。
軒先に並んだ井桁のマークは、住友家の家紋アレンジでしょうか?
この土地を寄付してくれた住友家へのオマージュ?
美術館内部も圧巻!
美術館のホールでは、カラヴァッジョ(ミケランジェロ)の「音楽家たち」の絵が迎えてくれます。
カラヴァッジョと呼ばれていますが カラヴァッジョは、村の名前で、彼の正式名、
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴッジョは、「カラヴァッジョ村のミケランジェロ」という意味になります。
自身、キュレーターでもある原田マハさんが著書「風神雷神 Juppiter,Aeolus」の中で触れておられます。
天井高は何メートルあるのでしょうか。
いきなりの大空間に圧倒されます。
今回は「メトロポリタン美術館展」のパネルで見えませんが、この奥に階段があります。
2階には、ぐるりと吹き抜けの周囲をまわる回廊があり、ベンチも備え付けられています。
ここでちょっと一休み♪
2階のアーチは、寺院の花頭窓のようですし、天井は格天井(ごうてんじょう)のようです。
ここにも和洋折衷の趣が感じられます。
メトロポリタン美術館展
大阪展は 2021年11月13日~1月16日 大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町)
東京展は 2022年2月9日~5月30日 国立新美術館(東京都港区六本木)
個人的趣味として、印象派の絵画が好みなのですが、今回のメトロポリタン美術館展は、
1️⃣信仰とルネサンス
2️⃣絶対主義と啓蒙主義の時代
3️⃣革命と人々のための芸術
三部構成で、普段観る機会の少ないルネサンス期の宗教画や王侯貴族のために描かれた絵画、おなじみの印象派もあり、変化に富んだ内容でした。
会期終了間際で、平日でも大勢の人で賑わっていて、荷物を預けるコインロッカーもほとんどが使用中。
幸い、空いてる所を見つけられてラッキーでした。
出口のところに必ずある、ミュージアムショップにも長蛇の列。
建物も、美術展も楽しみました。
そして、この後、美術館に隣接にする庭園・慶沢園を回りました。
下 慶沢園から見た、大阪市立美術館
園内の様子は別記事にて。
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